2016年8月21日日曜日

しりあがり寿の現代美術『回・転・展』を見て、妄想も大回転してきました

 しりあがり寿という人については、なんとなく真夜中の弥次さん喜多さんの作者ってことくらいの知識がある程度で、今までそんなに興味がなかったのですが、ふと目にした告知ポスターがどうしても気になって、ついつい見に行って来てしまいました。練馬区立美術館で開催中のしりあがり寿の現代美術『回・転・展』



せっかくなので、簡単に感想などをメモしておきます。


しりあがり寿の現代美術『回・転・展』とは


 練馬区立美術館で7月3日から9月4日まで開催されているしりあがり寿氏初の個展です。この後、9月17日から11月6日までは愛知県の刈谷市美術館で、年明け2017年1月14日から3月5日までは兵庫県の伊丹市立美術館での開催も決まっているようです。

公式ページの開催概要では、
回転はそれ自体のシンプルな動きの中に、命を吹き込む生命感、固定概念の破壊、関係性を喪失した空虚さなど多元的な意味を投げかけます。ギャグとシリアス、ナンセンスと哲学、サブカルチャーとアートなど様々な境界の間から独自の表現を試みるしりあがり寿の感性が、人間や社会、芸術について笑いと共に考えさせる機会を提供し、幅広い層に大きな反響を巻き起こすでしょう。
とその意義が書いてあります。確かに、見終わった後の個人的な印象は、夢に出てきてきそうな独特のインパクトはある気がします。

Twitterだと、結構たくさんの人の回転展を見てきたツイートがありますね。





感想を書いたブログも結構見つかりました。


 しりあがり寿氏のファンの方を中心に、結構な数の人が見ているみたいで、これは狙い通り大きな反響を起こしてみているみたいですね。


実際に見てみた感想は…


 第1章の漫画の部分は、正直しりあがり寿氏のディープなファンと言うわけでもなく、漫画の画風もイマイチ好きなタイプではないので、ふーん、という感じでしょうか…。しりあがり寿氏がどういう方なのかが分かるという点で、自己紹介って面が強いんでしょうね。

 第2章の回転作品の部分は、ポスターがどうしても気になったこともあり、なかなかに楽しめました。

 公式ページでは、回転展の象徴的作品と位置づけられている「回るヤカン」。電光掲示板に表示される文字が、静止時には「このヤカンは回転している間だけ芸術になります」 という文章が流れていて、ヤカンが回りだすと「芸術」の赤文字が点灯するという、なかなかにシュールな作品。

 美術館にいる時はそんなに意識してなかったですが、これ、芸術に限らず、例えば、「自宅にいる時はただのおじさんだけど、職場に行くと何かしらのプロフェッショナル」とか、オリンピックで言うと「選手村にいるときはただのアスリートだけど、トラックの上では人類最速」とか、みんな何かしらオンとオフがあって、この展示会は、回転しているときがオンの状態で、芸術か芸術じゃないかは、回転してるかどうかで決まるんだよ、という実に面白いテーマ付けなんですね。ブログ書いてて、やっと意味が少しわかってきましたよ。

 つまり、このヤカンから後に展示されていたものは、回っている限り芸術なんですね。
「芸術は爆発だ」という名言を残した岡本太郎氏風に言うと、しりあがり寿氏は
「芸術は回転だ!」
と、こう言いたかったわけですね。


 そこからはあとは、ひたすら色んな物が回転している「回転派」や、色んな歴史な出来事や遺物を回転させる「まわる歴史」や、たくさんのダルマがぐるぐる回っててしばらく経っても夢に出てきそうな「回転体は行進するダルマの夢を視る」など、色んな物が回りに回され芸術作品になってます。

 個人的には、「回る白昼夢」が面白かったです。ありとあらゆる日常品がぐるぐる回ってるだけなんですが、要は、どんなものでも回転してる間は芸術になる、つまり、何かしらそれに焦点があたってプロジェクトX級のドラマを生み出していた瞬間もあったんだよ、ってこと何だと勝手に解釈して勝手にすっきりしちゃいました。

 メッセージの深さで言えば、最後に展示されている映像作品の「回転道場」でしょうか。「回転」と崇め奉られる老師と、「回転」の極意を学ぼうと厳しい修行に明け暮れる弟子たちのエンドレスな日常を描いた作品なのですが、ここで回転しているのは、時間そのもの。時間が回転しているのです。そして、この回転展という展示会の中では、回転しているものは、つまり芸術なのです。
 要はこれ、部活動だったり、仕事だったり、食事だったり、毎日何かしらの時間をかけて繰り返してることは、つまり時間を回転させてるので芸術だと、それだけで価値のあるものなんだという、しりあがり寿氏のメッセージなんじゃないかと、勝手に解釈して勝手に共感もしちゃいました。

というわけで、この回転老師の
「こんなもの、回転ぢゃないわいっ!!!」
という一言は、個人的に名言認定です。「回転ぢゃない」と否定しつつも、その発言自体が、回転に組み込まれてしまっている、というなんというアイロニー。もう輪廻の概念に踏み込んでしまってますね。

 ちなみに、この回転展、一部の作品を除いて、撮影OK(ただし全ての作品で動画撮影は禁止)という非常に寛容な展示会なのにも驚きました。なんでもかんでもブログに上げるのも、ネタバレな感じでどうかと思うし、主要な作品は先ほどのブログなんかでも結構紹介されているので、個人的にお気に入りの作品を一個だけ。



「まわる歴史」に展示されている、江戸城無血明け渡しについての話し合いをする勝・西郷会談がテーマの作品ですが、勝海舟も西郷隆盛も、くるくるくるくる回ってます。奥の掛け軸の「かいてん。」もゆる〜い感じで、いい味出してます。NHKのその時歴史が動いたでも取り上げられたほどの天下を揺るがす歴史的な出来事が、こんなくるくる回りながらのゆる〜い雰囲気で行われていたら、と考えると、考えれば考えるほどあとからじわじわ来るのです。なるほど、これが回転という芸術か!


まとめ


というわけで、告知ポスターに何かピンと来るものがあって見に行ってみたら、思ったよりも楽しめたというお話でした。
ちなみに、写真撮影はOKだけど、動画撮影は禁止ってのは、非常にいいアイディアですね。江戸城無血明け渡しの写真も、多分Vineとかでとったらものすごく雰囲気が伝わるはず。
しりあがり寿氏のファンでなくても、十分楽しめるので、気になったらぜひ回転展、行ってみて本物をお楽しみください。




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