2016年8月28日日曜日

Nike+ Running にさよならしてランニングの記録を Google Fit にまとめた話

 普段あまり身体を動かさないデスクワーク中心の仕事なので、ここ2年ほど欠かさず週1回ほど走っています。と言っても、走るとすぐ膝が痛くなっていたので、ほぼ歩くようなペースでのんびりゆっくり距離を重ねていたのですが、つい先日、長年苦しめられてきた鵞足炎を、少しだけ歩くときの意識を変えることで克服できたので、よしこれから走りまくってやる、と思っていた矢先にそれはやってきました。Nike+ Running のメジャーアップデート。今回は、結構大きなアップデートで、アプリの名前自体も、Nike+ Runnning から Nike+ Run Club に変更になりましたが、これが実に残念なアップデートでした。Nike+ Run Club の利用をやめて、 Google Fit に移行することにしたので、メモしておきます。



Nike+ Running から Nike+ Run Club へのアップデートで何が起こったのか?


 そのアップデートは、8月23日に突然やってきました。メジャーアップデートで、Nike+ Running を使っていた人はほぼ強制的に、Nike+ Run Club (以下、NRCと省略します) にアップデートされました。そして何が起きたのか…?それは、強制的にアップデートされた人達の、阿鼻叫喚と怨嗟に満ちたつぶやきやレビューの嵐でした。







と、上げだしたらきりがない…。そして、アプリのレビューもちょっと見たことないくらいの大荒れ状態。

Google Play のレビューがこちら。
iTunes Store のレビューがこちら。

綺麗に、5段階評価で★が1つのレビューが並んでます。これが噂に聞く、くそアップデートってやつなのでしょうか…?


今回のアップデートの何がダメだったのか?


 個人的に一番受け付けられなかったのは、Google Fit との連携ができなくなったことでした。Google Fit を万歩計と体重の記録に使っていたので、今までは基本的に、Google FitとNike+でダイエット | 3741 のブログのように Nike+ Running と Google Fit を連携させてランの記録も最終的には Google Fit で管理していました。なので、このアプリ連携ができなくなったのは、厳しいです。

【9月24日追記】9月15日のアップデートで、Google Fit との連携機能が復活したっぽいですが、時すでに遅し。一ヶ月後に実装するなら、なぜ最初からしていなかったのかと…

 そして、デザイン変更も理由の一つです。アプリも、NRC よりも Nike+ Runnning のほうが見やすいとは思うのですが、何よりもWeb側の画面もこのアップデートのタイミングでリニューアルされてて、これが、激烈に使い辛い…。画像を大きく配置してスタイリッシュな今風のデザインなのかも知れませんが、メニューの配置など含めて、とにかく使いにくくなった印象なのが残念でなりません。

あと、幸いなことに私の場合は大丈夫でしたが、レビューを見ると、アップデートの前後でデータが引き継げなかったという報告も多数。これは酷いですよね…。

 しかし、元々よく見てみると、Nike+ Runnningの頃から、アップデートの度に改悪を続けるという歴史を繰り返していたので、むしろ今までよく我慢したというほうが正解でしょうか。今回のアップデートで見切りをつけたユーザーも多かったんじゃないかと思います。



 ちょうど切り良く、Nike+ Running と NRC の合計で1000km走れたので、これを気にNRCを卒業することに決めました。



地道に進化を続けていた Google Fit に一本化


 というわけで、元々 Google Fit は使っていたのですが、NRCのアップデートを機に、フィットネス系のアプリは Google Fit に一本化することができました。


と、IT系のエンジニアさんには評価が高いようで、" Why Japanese People !? "でお馴染みの厚切りジェイソン氏も Google Fit を使っているようです。しかも、10kmを52分切るペースで走ってて、結構早い!

 念のため2回ほど NRC と Google Fit を並行して使ってみたのですが、ランニング記録アプリとしては、全く遜色ないレベルに完成度上がってきていると思います。

 さらに Google Fit は、ウォーキングやランニング、サイクリングなどはもちろん、それ以外にもなわとびやピラティス、瞑想やベビーカー(?)など、結構な数のアクティビティの記録に対応していて、将来的には、睡眠や食事の管理も行えるようになるようです。

 アプリからもWebからも同じ情報にアクセスできて、UIも Google アプリ全体で採用しているマテリアルデザインで統一感があり、使いやすくていいですね。




まとめ


 まさかNikeほどの大企業でも、これだけユーザー無視のアップデートをするとは…。という驚きもありますが、蓋を空けてみると結果つかうアプリがすっきりして良かったです。162回で合計1000km のランに付き合ってくれた Nike+ Running のアプリ、本当に長い間、くそお世話になりました。

2016年8月27日土曜日

シン・ゴジラの楽しみを3倍くらい増幅させてくれる評論メモ

 シン・ゴジラ見ましたか?あまりにも周りの評判がいいので、見てきましたが、正直やられた…。これは面白い、というより、想像より数段面白かったですね。見に行ってよかった。色々と書いてたら止まらなくなりそうなので、簡単に感想を残しておこうと思うのですが、それよりも面白かったのが、周りの盛り上がりっぷり。皆さん、それぞれの視点でシン・ゴジラを論じていて、やっぱり映画の楽しみは、見て楽しむだけじゃなくて、作品についてお酒でも飲みながら、あーだ、こーだ、とぐだぐだ盛り上がるところにもあるなと、改めて感じました。そこで、個人的に面白かったシン・ゴジラの評論や考察をまとめておきます。

シン・ゴジラ公式サイトのティザービジュアルより


個人的な「シン・ゴジラ」の感想


 これはもう他の他の人からも散々出てますが、庵野秀明ワールド全開な作品で、新世紀エヴァンゲリオンがど真ん中な世代の私としては、隅から隅まで楽しめる作品でした。舞台を現代に移して、そのまんまエヴァの世界観を再現してみせた、という印象でしょうか。上陸したゴジラを迎え撃つ自衛隊は、ほぼそのまま、第三使徒サキエルを迎え撃つ国連軍だし、尾頭ヒロミとカヨコ・アン・パタースンの性格は、ほぼそのまま、綾波レイと惣流・アスカ・ラングレーの性格だし。そして、ディティールにこだわりすぎてどう考えても詰め込みすぎな圧倒的な情報量。エヴァを語るときに、衒学的と言うキーワードが良く引き合いに出されますが、今回はそれを会議体だったり組織だったり兵装だったりと現実世界で圧倒的なリアリティを出すための方法として使っている点で、噛めば噛むほど味わいが出てきて、何度も楽しめていいですね。そして、日本人は組織の力で困難に打ち勝つんだという、組織で働く全ての人を胸熱にしてくれる強力なメッセージ。ここ数年でみた映画の中で、確実に一番面白かったです。


読み応えのあった「シン・ゴジラ」の評論や考察ベスト3


 そして、いい作品は、色んな人が独自の解釈で解説してくれるのを見て楽しむと、まさに一粒で二度でも三度でも美味しい楽しみ方ができるわけですが、私が個人的にこれは…、と思ったものを3つ上げておきます。


第3位: 蒲田くんの足跡をたどる聖地巡礼記


大田区生まれのオレが写真でたどる『シン・ゴジラ』第一次上陸ルート(タバ作戦もあるよ) | 超音速備忘録

 多摩川河口で姿を現し、呑川を遡上して、蒲田駅へと向かうゴジラ(通称:蒲田くん)の足跡を辿ったブログです。やっぱり聖地巡礼は楽しいですよね。そして何より、行間から伝わってくる蒲田に対する地元愛。
第二形態ゴジラ(通称蒲田くん)

 実は私も過去に2年ほど、糀谷にある子安八幡神社の近くが勤務地だったことがあり、京急蒲田から呑川沿いを片道15分ほど掛けて歩くのが日課だったので、蒲田くんに破壊された呑川沿いのエリアは、とても思い出の深い場所だったりするのです。

 特にブログの中の、


ってキャプションの貼ってあるあたりの写真は、懐かしすぎて涙が出そうです。時間ができたらまた散歩に行ってみよう、というほっこりした気分にさせてくれる聖地巡礼記でした。


第2位: 音楽の側面からのマニアすぎる考察


音楽から読み解く「シン・ゴジラ」の凄み | 小室敬幸氏のnote

 評論や考察って、基本的にはストーリー展開など物語の画面に写っている何かをきっかけにするものとばかり思っていたのですが、この考察は、シン・ゴジラの劇中で効果的に使われている音楽に焦点をあてて話が進んでいきます。

 そしてその考察が、普通の人は絶対に気付かないであろうオリジナル音源との0.15秒の空白の違いに始まり、伊福部昭氏と鷺巣詩郎氏を中心としたゴジラの音楽に関する、分かる人にしか分からないディープな考察を、譜面なども例示しながら普段そんなことは全然気にしない(気にならない)人にもとてもわかりやすく考察してくれてます。

 目からの情報があれだけ多い中で、耳からの情報にこれだけ気を向けられるのはすごいことですし、何より今作は特撮映画という性質上どちらかと言うと特技監督の樋口真嗣氏に注目が行くのは仕方ない中、ここまで音楽の鷺巣詩郎氏に焦点をあてた話ができるのは、他人事ながら何か嬉しい。

 (DECISIVE BATTLE がシン・ゴジラでも効果的に使われていたのは、エヴァのファンならずともにやっとしてしまうほど嬉しいですよね。)

 総監督の庵野秀明氏や特技監督の樋口真嗣氏はもちろんですが、音楽の鷺巣詩郎氏も撮影の山田康介氏も照明の川邊隆之氏も、みんなシン・ゴジラという珠玉の傑作を生み出すために、頑張ってたんですよ。今後も、こういった裏方さんに焦点をあてた考察は増えていくと嬉しいですよね。照明とか、どんな仕事してるのかって、その業界の人じゃないと全くわからないですからね。知らない世界を、こういった興味のある作品をきっかけに知れるのは、なんとも得した気分になりますね。


第1位: 村上龍氏から庵野秀明氏へと続く文学的な系譜を震災後文学の視点で辿る考察


村上龍最良の後継者であり震災後文学の最高傑作としての『シン・ゴジラ』 | 飯田一史

 正直、読んでいくなかで一番面白かったシン・ゴジラの評論であり、文学的な考察として私の文学遍歴と照らしてど真ん中ストレートに言いたいことを言ってくれてて、なおかつ知らなかった部分を埋めてくれてこれだけでもしばらく楽しめる内容になってます。

 "庵野秀明監督の最新作『シン・ゴジラ』は村上龍以上に、2000年代以降の村上龍の問題意識を体現した作品だった。そして描かれるべき「震災後文学」をついに世に投じた作品でもあった。"

 という書き出しに始まり、この部分だけでも十分な読み応えの村上龍氏の分析を経て、震災後文学という文学の流れを論じるという、相当読み応えのあるエントリーで、一時間くらいずっと読んでました。

 実は私も、エヴァを見る→トウジとケンスケの名前が『愛と幻想のファシズム』が元であると知る→村上龍氏の作品の文学を片っ端から読みふける、というお約束のコースをたどっていて、同じ時期に村上春樹氏の作品も一通り読みましたが、今以って村上龍氏の作品が好きだなぁと思うのです。(ちなみに、映画になった作品では、2004年に宮藤官九郎氏の脚本で映画化された「69 sixty nine」が印象に残ってます。)

 実は、震災後文学というジャンルがあるということは初めて知ったのですが、「希望」というキーワードで、今回のシン・ゴジラがそれを見た日本人の心に何をもたらしたかということを見事に説明しています。そりゃ、そうと自覚しているかどうかに関わらず、感じるものは当然あるわけで、これだけの大ヒット作品になるわけです。

"村上龍はずっと「希望」にこだわってきたが、3・11以降には「どこを探しても希望のかけらもない」(『ラストワルツ』)などと書き、小説では「希望」を示しきれていない。"
"テロリストではなく、彼が「カンブリア宮殿」で接しているような、組織のリーダーたちを描くことこそが、震災後の2010年代日本という状況では必要だった。だが、彼は書かなかった。"
"庵野秀明は、村上龍本人よりも大きなスケールで、明確に、正しく村上龍的なモチーフを、本人以上にやり抜いた。3・11の重要な本丸であったがしかし純文学の作家たちは誰ひとりまともに切り込むことのできなかったことをやりきった。国の未来を示し、意思決定とネゴにまみれながらも実行しきること――政治を描き切った。『シン・ゴジラ』の主役たちには被害者根性がない。ほとんどすべての震災後文学が「現実に対する後退戦」でしかなかったのと対照的に、『シン・ゴジラ』は「現実を乗り越えて、仕掛けていく」。"

 まさに、これこそ庵野秀明氏が「現実(日本) vs 虚構(ゴジラ)」と言うキャッチコピーに込めた想いを、文学的な視点から分析している論評は間違いなく他にないです。作品そのものが面白すぎたので仕方ないし、いわゆる小説などの純文学的な世界と映像作品としての映画の世界を同じ土俵で評論する人があまりいないのも仕方のないことととは言え、シン・ゴジラは文学的な視点からももっと論じられていい作品であることは間違いないですね。そもそも、初代ゴジラも、「核の落とし子」「人間が生み出した恐怖の象徴」として描かれ、戦後文学のコンテクストでも高い評価を受けた作品なので、シン・ゴジラの真の評価も、今後はもっと文学的な視点から評価されそうですね。


まとめ


 というわけで、個人的に面白かった評論や考察をまとめてみたのですが、書いてて改めて思ったのは、日本人って、地震や台風、大雨など起きてしまったことに対して、どうそれを無くしたり避けたりするか(=劇中でいうところの米国主体で国連安保理決議としてまとめられたゴジラに対する熱核攻撃)と考えるよりも、それを常にそばにあるものとして、どう付き合っていくか(=血液凝固剤を経口投与することにより活動停止させる矢口プランことヤシオリ作戦)を考えるところにメンタリティーの本質があるんだなぁと改めてしみじみ思いました。そして、それと同じメンタリティで、ゴジラに対応する日本人。改めてそんなすごいことに気づかせてくれたシン・ゴジラに、乾杯です。やー、映画って、本当に素晴らしいものですね。

 まだ見てない方は、絶対楽しめると思うので、ぜひご覧ください。



 ちなみに、このシン・ゴジラには語り尽くせない小ネタが散りばめられてますが、そのへんは、#細かすぎて伝わらないシン・ゴジラの好きなところ選手権でお楽しみください。ちなみに、読み始めると終わらないので、時間がない人はこちらのまとめをどうぞ。




2016年8月21日日曜日

しりあがり寿の現代美術『回・転・展』を見て、妄想も大回転してきました

 しりあがり寿という人については、なんとなく真夜中の弥次さん喜多さんの作者ってことくらいの知識がある程度で、今までそんなに興味がなかったのですが、ふと目にした告知ポスターがどうしても気になって、ついつい見に行って来てしまいました。練馬区立美術館で開催中のしりあがり寿の現代美術『回・転・展』



せっかくなので、簡単に感想などをメモしておきます。


しりあがり寿の現代美術『回・転・展』とは


 練馬区立美術館で7月3日から9月4日まで開催されているしりあがり寿氏初の個展です。この後、9月17日から11月6日までは愛知県の刈谷市美術館で、年明け2017年1月14日から3月5日までは兵庫県の伊丹市立美術館での開催も決まっているようです。

公式ページの開催概要では、
回転はそれ自体のシンプルな動きの中に、命を吹き込む生命感、固定概念の破壊、関係性を喪失した空虚さなど多元的な意味を投げかけます。ギャグとシリアス、ナンセンスと哲学、サブカルチャーとアートなど様々な境界の間から独自の表現を試みるしりあがり寿の感性が、人間や社会、芸術について笑いと共に考えさせる機会を提供し、幅広い層に大きな反響を巻き起こすでしょう。
とその意義が書いてあります。確かに、見終わった後の個人的な印象は、夢に出てきてきそうな独特のインパクトはある気がします。

Twitterだと、結構たくさんの人の回転展を見てきたツイートがありますね。





感想を書いたブログも結構見つかりました。


 しりあがり寿氏のファンの方を中心に、結構な数の人が見ているみたいで、これは狙い通り大きな反響を起こしてみているみたいですね。


実際に見てみた感想は…


 第1章の漫画の部分は、正直しりあがり寿氏のディープなファンと言うわけでもなく、漫画の画風もイマイチ好きなタイプではないので、ふーん、という感じでしょうか…。しりあがり寿氏がどういう方なのかが分かるという点で、自己紹介って面が強いんでしょうね。

 第2章の回転作品の部分は、ポスターがどうしても気になったこともあり、なかなかに楽しめました。

 公式ページでは、回転展の象徴的作品と位置づけられている「回るヤカン」。電光掲示板に表示される文字が、静止時には「このヤカンは回転している間だけ芸術になります」 という文章が流れていて、ヤカンが回りだすと「芸術」の赤文字が点灯するという、なかなかにシュールな作品。

 美術館にいる時はそんなに意識してなかったですが、これ、芸術に限らず、例えば、「自宅にいる時はただのおじさんだけど、職場に行くと何かしらのプロフェッショナル」とか、オリンピックで言うと「選手村にいるときはただのアスリートだけど、トラックの上では人類最速」とか、みんな何かしらオンとオフがあって、この展示会は、回転しているときがオンの状態で、芸術か芸術じゃないかは、回転してるかどうかで決まるんだよ、という実に面白いテーマ付けなんですね。ブログ書いてて、やっと意味が少しわかってきましたよ。

 つまり、このヤカンから後に展示されていたものは、回っている限り芸術なんですね。
「芸術は爆発だ」という名言を残した岡本太郎氏風に言うと、しりあがり寿氏は
「芸術は回転だ!」
と、こう言いたかったわけですね。


 そこからはあとは、ひたすら色んな物が回転している「回転派」や、色んな歴史な出来事や遺物を回転させる「まわる歴史」や、たくさんのダルマがぐるぐる回っててしばらく経っても夢に出てきそうな「回転体は行進するダルマの夢を視る」など、色んな物が回りに回され芸術作品になってます。

 個人的には、「回る白昼夢」が面白かったです。ありとあらゆる日常品がぐるぐる回ってるだけなんですが、要は、どんなものでも回転してる間は芸術になる、つまり、何かしらそれに焦点があたってプロジェクトX級のドラマを生み出していた瞬間もあったんだよ、ってこと何だと勝手に解釈して勝手にすっきりしちゃいました。

 メッセージの深さで言えば、最後に展示されている映像作品の「回転道場」でしょうか。「回転」と崇め奉られる老師と、「回転」の極意を学ぼうと厳しい修行に明け暮れる弟子たちのエンドレスな日常を描いた作品なのですが、ここで回転しているのは、時間そのもの。時間が回転しているのです。そして、この回転展という展示会の中では、回転しているものは、つまり芸術なのです。
 要はこれ、部活動だったり、仕事だったり、食事だったり、毎日何かしらの時間をかけて繰り返してることは、つまり時間を回転させてるので芸術だと、それだけで価値のあるものなんだという、しりあがり寿氏のメッセージなんじゃないかと、勝手に解釈して勝手に共感もしちゃいました。

というわけで、この回転老師の
「こんなもの、回転ぢゃないわいっ!!!」
という一言は、個人的に名言認定です。「回転ぢゃない」と否定しつつも、その発言自体が、回転に組み込まれてしまっている、というなんというアイロニー。もう輪廻の概念に踏み込んでしまってますね。

 ちなみに、この回転展、一部の作品を除いて、撮影OK(ただし全ての作品で動画撮影は禁止)という非常に寛容な展示会なのにも驚きました。なんでもかんでもブログに上げるのも、ネタバレな感じでどうかと思うし、主要な作品は先ほどのブログなんかでも結構紹介されているので、個人的にお気に入りの作品を一個だけ。



「まわる歴史」に展示されている、江戸城無血明け渡しについての話し合いをする勝・西郷会談がテーマの作品ですが、勝海舟も西郷隆盛も、くるくるくるくる回ってます。奥の掛け軸の「かいてん。」もゆる〜い感じで、いい味出してます。NHKのその時歴史が動いたでも取り上げられたほどの天下を揺るがす歴史的な出来事が、こんなくるくる回りながらのゆる〜い雰囲気で行われていたら、と考えると、考えれば考えるほどあとからじわじわ来るのです。なるほど、これが回転という芸術か!


まとめ


というわけで、告知ポスターに何かピンと来るものがあって見に行ってみたら、思ったよりも楽しめたというお話でした。
ちなみに、写真撮影はOKだけど、動画撮影は禁止ってのは、非常にいいアイディアですね。江戸城無血明け渡しの写真も、多分Vineとかでとったらものすごく雰囲気が伝わるはず。
しりあがり寿氏のファンでなくても、十分楽しめるので、気になったらぜひ回転展、行ってみて本物をお楽しみください。




2016年8月13日土曜日

山の日を記念して、登りやすいと評判の大菩薩嶺に登ってきました。(といっても1日遅れ)

 ついに今年から山の日が施行されましたね。このお盆の時期の始まりに祝日があると、そこから休みを繋げやすくていいですね。長野県の上高地で皇太子様ご一家も出席されて開催された第1回「山の日」記念全国大会をはじめとして、全国各地で記念行事が行われてましたね。さすがに山の日当日はどの山に行っても混むだろうなと思い、一日遅れて、山の日を記念して、大菩薩嶺に登ってきました。天気こそ晴れていたものの、雲がかかって眺望が望めなかったのが残念でしたが、楽しく登山ができました。


 大菩薩嶺の文字の下に見えているのが、大菩薩湖(上日川ダム)。この日の天気では、これで大分、遠くまで見えたほうでした。


一日の登山計画


 大菩薩嶺は、初心者向けで比較的のんびり登山できるということで、基本に立ち返りのんびり登山を目指しました。コースは大体こんな感じです。

  • 0810 甲斐大和駅からバス →まさかの超満員で、立ち乗りになったのは辛かった…。
  • 0905 上日川峠(大菩薩)バス停着 →軽く朝食を取り、登山準備
  • 0920 ロッジ長兵衛を出発 →登山開始
  • 0945 福ちゃん荘通過 
  • 1030 大菩薩峠の介山荘で少し休憩 →のんびり休憩しすぎた…。
  • 1140 大菩薩嶺到着  →雷岩に戻って晴れ間を待ちつつ昼ごはん
  • 1245 唐松尾根経由で下山開始
  • 1322 福ちゃん荘経由
  • 1345 上日川峠到着 →軽く休憩して、そのまま裂石バス停を目指す
  • 1515 大菩薩登山口(裂石バス停)通過
  • 1530 大菩薩の湯到着 →温泉で疲れた体を癒やす
  • 1640 大菩薩の湯出発 →温泉にバス停併設は嬉しい
  • 1706 塩山駅到着 →電車の時間まで、軽く乾杯!
  • 1911 塩山駅発 →人生初の特急かいじで新宿へ

 流石に激混みしそうな山の日を避けたところ、祝日と土日に挟まれた平日とはいえ、お盆期間なのでもう少し混むかなと思っていたんですが、思ったより人が少なくて、快適に登ることができました。


登山ルート


 登りは、上日川峠から福ちゃん荘を経由して先に大菩薩峠を周り、大菩薩嶺に向かうコースにしました。下りは、雷岩から唐松尾根経由で福ちゃん荘、ロッジ長兵衛を通過して裂石バス停を目指すコースです。登りが2時間20分、下りが2時間45分の道のりでしたが、印象的にはひたすら下ってたイメージです。

 今回は、登りは上日川峠からを考えていたので、甲斐大和駅からバスを利用したのですが、50人ほど乗れるバスが満杯。通常なら補助席を出して座るところが、出すと全員乗れないので、立ち乗りでなんとか乗れる状態でした。途中で何人か降りてやっとこの状態。



 まさかの登山前に1時間弱の立ちっぱなし。さすが百名山恐るべし。といっても、混んでたのは登山口までで、ついてしまえば、あとは快適な登山でした。

登山の起点、上日川峠のロッジ長兵衛。皆さんここで、装備を整え山頂を目指します。



歩き始めると、20分ほどですぐに福ちゃん荘に到着。予想以上に近くてびっくり。



 2002年の皇太子様ご一家がご休憩をされた場所でもあり、昭和の大事件あさま山荘事件につながる大菩薩峠事件の舞台でもある福ちゃん荘。勝手にもっと山深いところにあるのを想像していたのですが、そこそこ大きな建物でもあり、ここまで車で登ってくることができるので、なるほど、だからこそのあの出来事と、なんだか納得です。

 そして注目すべきは、福ちゃん荘脇の登山道の案内図。非常にわかりやすい!今回の登山にあたって、事前に大菩薩観光協会の登山マップを参考に計画を立てていたのですが、こっちは残念ながら非常に分かりにくいので、ぜひこの案内図をそのままHPにも掲載して欲しいところです。



 そして、福ちゃん荘をあとにして、大菩薩峠を目指して登り始めると、「登山者に注意」の案内板。これは、野生動物に対して、「この辺は登山者が出て危ないから、山に帰りなさい」という気遣いなんだろうか…?



 福ちゃん荘を出て、歩くこと45分。結構あっという間に、介山荘に到着します。昔の関所ってこんな感じだったんだろうか、って感じの山荘でした。両側の建屋は両方、介山荘で、ここを通過しないと大菩薩峠が見れません。



 そして介山荘を出るとすぐに、大菩薩峠があります。やはり多くの人がここで休憩してました。あまりにも有名な大菩薩峠の一枚。



私も少し休憩して、まずは一杯。やっぱり山はこれに限りますね。



 そして、大菩薩峠をあとにして、大菩薩嶺を目指す途中、介山荘方面を振り返ると、雲が峠を越えるところを見ることができました。そして、このあとの視界は残念な感じに…。晴れていたら、富士山が綺麗に見えたんだろうなぁ…。



 そして、そのまま一旦雷岩を通過して、大菩薩嶺に。展望のない山頂とは聞いてましたが、これほどとは笑。



 そして戻った雷岩で昼休憩。この頃には、視界がほぼ望めない状態でした…。



 が、しかし、今日はもう一つの楽しみが。それはこちら、山頂でのウィスキー!いつか一度はやってみたいと思っていたのですが、今回の大菩薩嶺は初心者向けで高度も歩く距離もないので、思い切ってついに山頂ウィスキーデビューしちゃいました。(といっても、もちろん舐める程度ですが…)



 これはいい。これはいいですよ。晴れてればもっと美味いだろうなぁと思いつつ、のんびりちびちびウイスキーを楽しみながら晴れるのを待ってたんですが、待てど暮らせど晴れる気配がないので、諦めて下山開始。帰りは、唐松尾根経由で福ちゃん荘を通ってロッジ長兵衛までたったの1時間。あっという間でした。そして、ロッジ長兵衛で少し休憩して、裂石バス停目指して出発。ここの入り口、微妙に分かりにくいので、もっと目立つようにして欲しいですね。



 途中、雲峰寺に立ち寄りました。今回は修復工事中で見れませんでしたが、このお寺の宝物殿にはなんと、日本最古の日の丸や風林火山の旗が保管されているそうです。さすが武田一族ゆかりのお寺です。



石段の参道も立派です。別世界への入り口っぽい。198段もあるのだとか。



で、そこから歩くこと5分で、ようやく裂石バス停にたどり着きました。下りが長かった。




登山のあとは、温泉と食事で癒される


 旅の終わりは裂石バス停ではなく、せっかくなら温泉にも入らなければということで、そのままさらに国道411号線を15分歩いて、今回は大菩薩の湯に到着。遠いよ、しかし…。



 泉質は高アルカリ性で、入ってみた感じ、相当ぬるっとした感じです。いいお湯でした。
休憩所やマッサージもあり、お食事処の大菩薩亭やお土産物も販売していて、なおかつバス停が併設という便利な温泉でした。

 温泉後は、バスに乗って塩山駅に移動し、駅前の夢乃家で、のざらと馬さしを頂きました。のざらって初めて食べたのですが、一言でいうと、ほうとう版つけ麺ってところでしょうか。疲れた体に、こちらも染み渡ります。





まとめ


 登りやすくてお手軽に登山ができるので、山に慣れるにはいいですね。今回のコースは、上日川峠から仙石平まで、割りと単調な下りがひたすら長かった印象なので、もし次に登ることがあれば、大菩薩嶺から丸川峠を回るコースも試してみたいと思います。むしろ、塩山駅から入って裂石バス停から登り始め、丸川峠から大菩薩嶺、雷岩、大菩薩峠を通って上日川峠に降りてくるコースが良さそうですね。

 さて、次はどこに登ろう…?



Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

この記事が面白かったらシェアお願いします