2016年4月2日土曜日

シルク・ドゥ・ソレイユのトーテムは、パフォーマーが見せる筋肉の美しさと鍛錬の成果に刮目すべし!

 久々に見てきました。シルク・ドゥ・ソレイユの ダイハツ トーテム 日本公演。大変失礼ながら、テレビCMをバンバン入れてた一時ほどの勢いはないのかな、と勝手に思っていたんですが、会場のお台場ビッグトップは思った以上に大入り満員でびっくりしました。

 今まで見たシルク・ドゥ・ソレイユの公演は、ツアーショーでは、サルティンバンコ2000・キダム・ドラリオン、常設ショーでは東京ディズニーリゾートでやってたゼッドくらいで、そんなに熱心に全ての公演を見てきたわけではないですが、しばらく空いて久しぶりに今回の トーテム を見てきたので、東京公演の感想を書いておきます。

会場の様子


 以前は、代々木でやっていたんですが、ひとつ前のオーヴォから、お台場に場所が移っていたんですね。ガンダム立像のほぼ真ん前なので、迷わず行けました。お台場ビッグトップを正面から。




 トーテムの世界観を表現したエントランステントには冠スポンサーのダイハツのCASTが展示されてました。



ちなみに、トーテムとは、

'人の好奇心・欲望・情熱を追い求め、人類の誕生から現在、そして未来へと数億年の旅を続ける、"不可能を可能にする人類の進化"をテーマにした壮大な物語である。'

とのことで、CASTの側面には、人類の進化がプロジェクターで映し出されてました。



 入口を入って正面がグッズ売り場、左右の側面がフード・ドリンク売り場になってます。グッズ売り場の看板が、なかなかにインパクトのあるビジュアルで…。



今回見た演目


 気になるのはやっぱり演目。ということで、今回見た演目はこちらです。



 こうしてみると、結構なボリューム。休憩が30分もあるのかよ、と思いましたが、トイレに行ってビールを買い足して、とかしてたらあっという間に30分くらい経っちゃいますね。


好みの演目トップ3


 勝手に好みの演目を3つ上げると、こんな感じでしょうか。


第1位: カラペース(ハイ・バー)


 亀の甲羅を模した「生命の起源」の象徴で、カエルがピョコピョコ飛び跳ねます。拍手を求める決めポーズがまた、キモくていい感じ。オープニングの演目だけあって、分かりやすく凄いです。世界観と装置と衣装と動きとが見事にマッチしてて、完成度高いです。

トーテム公式ページより「CARAPACE(カラペース)」

第2位: ローラー・スケート


 何をどう思いついたら、あんな小さな円盤の上でローラー・スケートしようと思ったのか、そしてなんで首を使ってジャイアント・スイングしようと思ったのか、発想が色々と謎すぎる演目。愛の無限さを象徴しているらしいですが、いくらなんでもやんちゃすぎるだろ、この愛の形は。うっかりミスって吹っ飛んだら、骨折どころじゃすまなそうです。でもこれも、分かりやすく凄いのです。

トーテム公式ページより「ROLLER SKATES(ローラー・スケート)」


第3位: フィックスト・トラピス・デュオ


 落ちそうで落ちない!というか、どこでお互いの体重を支えているのか良くわからないタイミングが何回か確実にあります。「お互いの身体を絡めながら宙を舞い、愛を確かめ合う」というテーマだそうですが、どちらかと言うと愛と言うよりは信頼がテーマな気がする…。静かだけど激しい、色気ある大人な演目でした。

トーテム公式ページより「FIXED TRAPEZE DUO(フィックスト・トラピス・デュオ)」

その他の演目にも勝手に一言


 楽しみ方は大きく2つかなと思ってて、勝手にキーワードを上げるとするなら、「筋力の無駄遣い」「百発百中」でしょうか。

 一つ目の「筋力の無駄遣い」は、フィックスト・トラピス・デュオもそうなんですが、演者が皆さんとにかく細マッチョで、パフォーマンスの随所でありえない筋力を見せつけてくれます。男2人女1人でつり輪を駆使するリングス・トリオも、つり輪と体の位置関係からして、良く分からない部位の筋肉を使って姿勢を支えているように見える…。そしてこの人達、衣装が衣装なので、ギリシャ彫刻のようなキレキレの細マッチョな肉体美がすごいです。筋肉マニアにはたまらないんじゃないだろうか。

トーテム公式ページより「RINGS TRIO(リングス・トリオ)」

 地味で目立たないんですが、ショーの最初に出てくるあらゆる生命の起源の象徴、クリスタル・マン。物語の時間軸を繋いで行く役割なので、何度か出てきて出番が終わると天井にあるキャットウォークに戻って行きますが、毎回最後はぐいっと懸垂して結構な高さまで体を持ち上げるのです。これもほとんど観客から見えないところでの、筋力の無駄遣い。

トーテム公式ページより「THE CRYSTAL MAN(クリスタル・マン)」

 そして極めつけの筋力の無駄遣いは、クラウン・ウォータースキー。プロジェクション・マッピングを使ったクラウニングなんですが、注目は登場と退場のシーン。今回のセットは、ステージに向かって通路がせり出すような作りになっていて、登場人物の二人が逆さ吊りになった状態で出てきて、逆さ吊りになって帰っていくという…。伝わりにくくてすみません。例えるなら、空中で一回転ループするジェットコースターの上り始めから天辺までの軌跡をゆっくり逆回しするように動く乗り物に、筋力だけでぶら下がってる感じでしょうか。結構ゆっくり動くので、見た目以上にあの体勢を維持するのはきついはず。これまた、贅沢に筋肉を使った遊びですね。おそらく、AブロックかGブロックに座らないと、この凄さは伝わらないので、運良く座った人はご注目ですよ。

トーテム公式ページより「CLOWN FISHERMAN(クラウン・フィッシャーマン)」
(※「CLOWN WATERSKI(クラウン・ウォータースキー)」の画像がなかったので代用 )
もはやこの人達に、筋肉痛とかそういう感覚はすでにないんだろうなぁ。


 そして、二つ目のキーワード、「百発百中」は、ものすごい完成度の高さです。プロとしてやってるんだから、完成度が高いのは当たり前、とかはもちろんそうなんですが、とは言えはやりミスはあるので特にトス系のジャグリングとかはある程度のミスは織り込んで、ルーティン作るものだったりします。しかし、フープ・ダンサーとか、クリスタル・レディーのフット・ジャグリングとか、ディアボロとか、ロシアン・バーとか、一切失敗する気配がない抜群の安定度。(ロシアン・バーの下でバーを支える人とか、見た目にも安定感のある体型ですが、ここでいいたのはそうではなく。)

トーテム公式ページより「CRYSTAL LADY(クリスタル・レディー)」
きっとパフォーマーの実力が100だとすると、公演でやってるパフォーマンスは60くらいの力しか出してなくて、楽しみ方としては全公演見に行って、「凄いよあいつら、日本公演全ての回で、ノーミスのパーフェクト演技だったよ」っていう楽しみ方なんだろうなと勝手に思いました。

トーテム公式ページより「DIABOLO(ディアボロ)」
もちろん、やってる事自体はすごくハイレベルなんですが、そのレベルの高さを全く感じさせない、危なげないパフォーマンス。きっと寝起きや二日酔いなどの多少のコンディションの悪さはものともしないくらい、鍛錬積んでるんだろうなぁという、凄みを感じます。例えるなら、興奮状態にならずに常時平常でいられる超サイヤ人のような人たちでしょうか…。

トーテム公式ページより「RUSSIAN BARS(ロシアン・バー)」
演目の着想の面白さでは、フープ・ダンサー好きだなぁ。コンタクト・フラフープとでも言うんでしょうか、毎日フラフープに触ってても、あの方向でパフォーマンスできるという発想になるのは凄い。そして技が決まったときは、孔雀が羽を広げた時のような迫力があって、見てて気持ち良いパフォーマンスです。

トーテム公式ページより「HOOP DANCERS(フープ・ダンサー)」
あと、サイエンティストのマニュピレーションも面白かったですね。バウンスに近いジャグリングなんですが、円錐形の箱の中でやるのを最初に考えた人は偉いです。

トーテム公式ページより「MANIPULATION(マニュピレーション)」

 反対に少し物足りなかったのが、チャイニーズ・ポールのエスカラードかな。竹のようなしなりのある4本の棒を束ねて作った道具がすごく面白くて、個人的にはもう少し見たかったです。まだまだ色々できることがありそうなので、今後に期待ですね。

トーテム公式ページより「THE SCIENTIST(サイエンティスト)」
(※「CHINESE POLE(チャイニーズ・ポール)」の画像がなかったので代用)

そして、ユニサイクル・ウィズ・ボウルは、逆にちょっと成功率が低くて残念。調子悪かったのかな?

トーテム公式ページより「UNICYCLES WITH BOWLS(ユニサイクル・ウィズ・ボウル)」

 あと、公式ページの演目に載ってたハンドバランシングが見れなかったのが残念でした。タイミングもあるので、こればかりは仕方ないですが、これも筋肉の無駄遣いっぷりが凄いんだろうなぁ、と考えると見たかったですね。

トーテム公式ページより「HAND BALANCING(ハンド・バランシング)」

その他の感想


 個人的にヒットだったのは、モンキー・ビジネスで、猿人が抱えてるでっかい骨。あれ、クッションとか抱きまくらとかにして、ある程度の実用性も確保してくれたら、1/1スケールで売ってても買ってしまうな、と思いました。ギャートルズ肉の真ん中の骨は、見るものを魅了しますね。(下の画像の右から二番目が持ってる、あれです)せめてキーホルダーくらいはあって良さそうなのに。そして、猿に携帯電話を壊されるとか、現代社会に対する何たるアイロニー。隣に座ってた女子大生くらいのお姉さんが、公演中もずっとスマホいじってて、こっちの携帯電話も壊してくれと思ったとか思わなかったとか…。

トーテム公式ページより「MONEY BUSINESS(モンキー・ビジネス)」


 そして、ドリンクは、缶ビール350mlが一本500円なら、+200円で生ビールが飲みたかったなぁ…というのもこっそり書いておこう。観光地価格なのはまぁ仕方ないとして、凄いパフォーマンス見ながら、美味しい生ビールが飲みたいなぁ。

まとめ


 というわけで、なんだかんだと言いながら楽しい2時間半でした。全体的には、派手さはないけど、凄みがある感じのパフォーマンスなので、私は好きですが、好みは分かれそうかな、という感想です。特に、子供にはわかりにくいかな。前列に座ってた小学生低学年くらいのお子さんは、半分以上爆睡してました。おかげでステージが観やすかったよ、ありがとう。

 ちなみに、会場に行かなくても見れちゃうのでネタバレ注意で紹介しておくと、実は、このティザームービーの演者さんの視点で見た絵がすごいです。臨場感が溢れすぎてます。


 おそらくGoProか何かを頭につけて、パフォーマンスをしてるんだと思うのですが、こんな世界が見えてるのかー!!という、普通の人だと一生見ることのない視界が見れます。こういうの、リアルタイムでパフォーマンスに取り込むと面白そうだけどなぁ。パフォーマンスしてる最中に、正面のオーロラビジョンにその時の演者さんの視界が表示される、とか、そのうち出てきそうですね。パフォーマンスに限らず、スポーツでも意外に簡単にできそうだし。ボクシングとか、皆ヘッドマウントディスプレイをかけて、自分の応援しているボクサー目線で、応援するとか、楽しそうです。

 あと、技術的にはこれも凄いな。動画なのに360度あらゆるところが見れるので、ぜひ動画をぐりぐりしてみてください。画質の悪さが少し気になるけど、これまたパフォーマー気分が味わえます。


 全体的には、チケット代の価値は十分にある公演です。特に、筋力に憧れる人や、大人の完成されたパフォーマンスが見たい方にはおすすめです。東京公演のあとは2017年4月までかけて、大阪・名古屋・福岡・仙台と全国をまわるようなので、お近くで公演がある際は、ぜひ、見てみてくださいね。

【2017年11月11日追記】シルク・ドゥ・ソレイユ創設30周年記念作品「キュリオス(KURIOS)」の日本公演開催が決定しました


早くも、トーテムの次の作品、キュリオスの日本公演の情報が発表されてますね。2018年から、以下の日程で日本全国を巡業するようです。

  • 2018年2月7日〜2018年6月3日 東京公演@お台場ビッグトップ
  • 2018年7月26日〜2018年10月29日 大阪公演@中之島ビッグトップ
  • 2018年11月22日〜2019年1月27日 名古屋公演@名古屋ビッグトップ
  • 2019年2月15日〜2019年3月31日 福岡公演@福岡ビッグトップ
  • 2019年4月 仙台公演@仙台ビッグトップ


今から楽しみですね。すでにプロモーション動画も公開されているので、待ちきれないという方はぜひご覧ください。


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